ネルドリップの淹れ方|粉の量と蒸らし、新品のネルの下準備と保管

木の皿にのせた、コーヒーの入ったガラスのサーバー。青い光の中で、手前のカップはぼやけている

喫茶店のメニューで「ネルドリップ」の文字を見て、ペーパードリップと何が違うのか、気になったことはありませんか?

この記事では、メーカーと業界団体の説明を比べ、ネルドリップの淹れ方と、布のフィルター(ネル)の扱い方をまとめました。

この記事の要点
  • キーコーヒーの1杯分(できあがり120cc)は粉10g。全日本コーヒー協会「ネルドリップ式」は、粉12g(細挽き〜中細挽き)にお湯160mL(1杯140mL分)です。
  • 蒸らしの時間は、全日本コーヒー協会が20秒ほど、ハリオが30秒です。
  • 使ったネルは水で洗い、水に浸して冷蔵庫で保管します。
目次

ネルドリップとは

ネルドリップって、ペーパードリップと何が違うの?

ネルドリップは、「ネル」と呼ばれる布のフィルターで淹れるコーヒーです。ネルは「フランネル」の略で、柔らかく軽い毛織物を指します。

ネルはペーパーフィルターより目が粗く、コーヒー豆のオイル成分が多く出るため、滑らかでボディ感が強い味わいになる傾向があります。

一方、ペーパーフィルターは比較的すっきりした味わいになるのが一般的です。紙の細かい繊維がオイル成分や雑味などを適度にこしとるためといわれています。

紙のフィルターでの淹れ方は、ハンドドリップの淹れ方にまとめています。

ハリオによると、ネルはやわらかく、コーヒーの粉が十分に膨らみ、豆が持つ本来の旨味を存分に抽出できます。

粉とお湯の量

キーコーヒーの1杯分の目安は、粉10g、できあがり120ccです。全日本コーヒー協会「ネルドリップ式」の量や、資料ごとの挽き目の条件は、次の表で比べられます。

資料粉とお湯の目安
キーコーヒー1杯分:粉10g、できあがり120cc。手順では中挽き。
全日本コーヒー協会(ネルドリップ式)粉12g(細挽き〜中細挽き)、お湯160mL(1杯140mL分)

キーコーヒーは、ケトルのお湯を、できあがりの量の2〜2.5倍は用意するよう勧めています。お湯が少ないと、注ぐときにケトルを大きく傾けることになり、お湯を調整しにくくなるためです。

新品のネルの下準備

新品のネルは、そのまま使っていいのかな…

新品のネルは、コーヒーの成分をなじませるため、使う前にコーヒーの粉と一緒に煮ておきます。

新品のネルの下準備の図。1、コーヒーの粉と一緒に煮る(説明によって違う)。ぬるま湯で「糊気」を落とす、布が浸かる量の水に、コーヒー粉を入れる、目安:水500ccに粉5gくらい、沸騰したら弱火で、沸かない程度に15〜20分。少量のコーヒー粉を入れた湯で20分以上煮沸。2、水気を取る(説明によって違う)。流水で洗い、水気がなくなるまで絞る、絞るのは3〜4回。キッチンペーパーなどで水気をよく取る

煮る時間は、キーコーヒーが沸かない程度に15〜20分、全日本コーヒー協会が20分以上の煮沸です。

全日本コーヒー協会は、少量のコーヒー粉を入れた湯で煮沸し、キッチンペーパーなどで水気をよく取るとしています。

キーコーヒーは、ぬるま湯で「糊気」を落としてから、布が浸かる量の水にコーヒー粉を入れ(目安は水500ccに粉5gくらい)、沸騰したら弱火にします。煮たあとは流水で洗い、水気がなくなるまで絞ります(絞るのは3〜4回)。

絞り方も大切です。同社によると、起毛が寝ているのは絞りが足りない状態で、抽出のときにお湯の温度が下がり、香りや味わいに影響します。少し毛羽立っている面を外側にして絞るのがコツです。

淹れ方の手順(蒸らしと注ぎ方)

キーコーヒーの説明では、ネルの起毛している面を内側(コーヒーの粉に触れる側)にして淹れます。手持ちのネルの説明書きもあわせて確かめてください。

同社の手順をもとにした流れは、次のとおりです。

  1. 絞ったネルを、縫い目が外側になるようにハンドルに通し、形を整える
  2. サーバーとカップにお湯を入れて温める
  3. お湯を捨てたサーバーにネルをのせ、粉を入れて、ネルをゆすって表面を平らにする
  4. ケトルを熱源から外し、中央からゆっくり注いで蒸らす
  5. 2回目は、中央で注ぎ口を上下して泡を出し、泡の周りに「の」の字を描くように1周注ぐ
  6. 泡の凹む動きが止まる前に次を注ぎ、計5〜6回くらいに分ける
  7. できあがりの量になったらネルを外し、サーバーを軽く揺すって濃さをそろえる

注ぐときは、ネルにお湯をかけないようにしましょう。ネルにかかったお湯は粉に十分に触れずに落ち、薄いコーヒーになる可能性があるためです。

蒸らしと注ぎ方の図。1、お湯を注いで、蒸らす(説明によって違う)。中央からゆっくり注いで蒸らす。静かに注いで、20秒ほど蒸らす。全体が湿る程度に注ぎ、30秒蒸らす。2、「の」の字や円を描いて注ぐ(説明によって違う)。2回目は、中央で注ぎ口を上下して泡を出す、泡の周りに「の」の字を描くように1周。「の」の字を描きながら、ゆっくり注ぐ。中央に500円玉くらいの円を描いて注ぐ。3、泡が沈む前に、次を注ぐ(説明によって違う)。凹む動きが止まる前に、次を注ぐ。泡の山が沈む前に、次の湯を注ぐ。4、注ぎ終える(説明によって違う)。計5〜6回くらいに分ける、蒸らしからネルを外すまで約3分。5〜6回に分け、2分半〜3分で終える。杯数に関係なく、3分以内に注ぎきる

全日本コーヒー協会は、静かに注いで蒸らし、「の」の字を描きながらゆっくり注ぎ、泡の山が沈む前に次の湯を注いで、5〜6回に分けて2分半〜3分で終わらせるとしています。

ハリオは、全体が湿る程度に注いで蒸らし、中央に500円玉くらいの円を描いて、杯数に関係なく3分以内に注ぎきるとしています。

「3分」の数え方は違い、キーコーヒーは蒸らしからネルを外すまで、ハリオは注ぎきるまでです。

キーコーヒーは、蒸らしの終わりを泡の様子で見きわめます。キラキラした泡が消えて、穴がボソボソと出てくれば、粉の中心までお湯が浸透して、ガスが抜けた合図です。

全日本コーヒー協会は、粉の中心を少しくぼませておくと、1湯目のお湯が全体に行き渡りやすいとしています。

使ったあとの洗い方と保管

ネルって、使ったあとはどうしておけばいいの?

ネルは繰り返し使うので、使ったあとのお手入れが欠かせません。

全日本コーヒー協会は、洗剤を使わずによく水洗いし、袋全体を水に浸して冷蔵庫で保管するとしています。布に付いたコーヒーの脂肪分が空気に触れて酸化し、嫌な臭いがネルに付くのを防ぐためです。

使ったネルの洗い方と保管の図。1、水で洗う(説明によって違う)。粉を捨て、流水で微粉がなくなるまで洗う。洗剤を使わずに、よく水洗いする。2、水に浸して、冷蔵庫で保管する(説明によって違う)。冷水と氷に浸し、ふた付きの容器で冷蔵庫へ、朝昼晩の3回、水を交換する、難しいときは氷を多めに。または冷凍。袋全体を水に浸して、冷蔵庫で保管、脂肪分が酸化し、嫌な臭いがネルに付くのを防ぐため

キーコーヒーは、粉を捨てて流水で微粉がなくなるまで洗い、冷水と氷に浸して、ふた付きの容器で冷蔵庫に保管し、朝昼晩の3回は水を交換するよう勧めています。交換が難しいときは、氷を多めに入れるか、チャック付きの袋に入れて冷凍し、使うときに流水で解凍する方法もあります。

洗うときの水の温度にも気をつけましょう。キーコーヒーによると、高い温度で洗うと、ネルに残ったコーヒーの油脂分が、不快な香りになることがあります。

よくある質問

専用のサーバーがないときは?

ペーパードリップのサーバーも使えます。その場合は、ネルとハンドルを立てる「スタンド」が必要です。

1杯だけでも淹れられますか?

はい。1杯から淹れられる器具もあります。布のフィルターを使うほかの淹れ方は、サイフォンの淹れ方にまとめています。

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