コーヒー豆の表示の見方|産地名入りブレンドの30%ルールと炭火焙煎の基準

白い台の上に置いた、クラフト紙のコーヒー豆の袋

コーヒー豆を買うとき、袋の表示までじっくり読む人は少ないかもしれません。でも実は、表示の書き方には業界のルール(公正競争規約)があります。

知っておくと、豆を選ぶときのヒントになりますよ。袋の表示の読み方と、商品名に使う産地名・焙煎方法の基準を、図を使ってまとめました。

この記事の要点
  • 「○○ブレンド」と名乗れるのは、○○の豆を30%以上使ったものだけです。
  • 「炭火焙煎」などの表示は、すべての豆をその熱源だけで焙煎したものに限られます。
  • 生豆生産国名は、原則として重量の多い順に書かれています。
目次

袋の表示の読み方

袋の裏の小さい文字、いつも読み飛ばしちゃう…

小さい文字がぎっしり並んでいると、つい後回しにしがちです。袋の表示欄には、決まった項目が決まった順番で、1つの枠にまとめて書かれています。項目ごとに読み方を見ていきましょう。

項目と書き方は、レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約と、その施行規則で決まっています。

公正競争規約って? 景品表示法にもとづいて、業界が自主的に決めたルールです。公正取引委員会と消費者庁長官の認定を受けています。

消費者庁によると、規約に参加していない事業者には適用されません。参加していない事業者の不当な表示には、消費者庁が景品表示法にもとづいて措置をとります。

コーヒー豆の規約の対象は、容器や袋に密封したレギュラーコーヒーとインスタントコーヒーです。

袋の表示欄の見本の図。名称はレギュラーコーヒー、原材料名はコーヒー豆(生豆生産国名:ブラジル、コロンビア、その他)、内容量は200g、賞味期限は2027.04、保存方法は「直射日光、高温多湿を避けて保存してください」、使用上の注意は「開封後はお早めにお使いください」、挽き方は中細挽き、製造者は○○珈琲株式会社(○○県○○市○○町1-2-3)。1、名称は「レギュラーコーヒー」か「インスタントコーヒー」のどちらか。2、生豆生産国名は、豆を育てた国。原則として重量の多い順。3か国以上なら、上位2か国以上+「その他」。3、賞味期限は、製造から賞味期限までが3か月を超えるものは、年と月だけでもよい。4、挽き方は、粉の商品だけ。5つの言葉(粗挽き・中挽き・中細挽き・細挽き・極細挽き)のどれか。輸入品には「原産国名」の欄も入る
商品名・会社名は架空のものです
項目書かれていること
名称「レギュラーコーヒー」か「インスタントコーヒー」。両方を混ぜたものは、重量の多い方を名称にして「レギュラーコーヒー(インスタントコーヒー入り)」のように書く。
原材料名「コーヒー豆」と、豆を育てた国(生豆生産国名)。原則として重量の多い順に書く。3か国以上のときは、多い方から2か国以上を書き、残りを「その他」か「他」とまとめてよい。
内容量グラム(g)かキログラム(kg)。
賞味期限開封前の状態で、書かれた方法で保存したときに、品質が保たれる期限。製造から賞味期限までが3か月を超えるものは、年と月だけでもよい。枠の外に書いて、枠の中に「枠外上部に記載」などと示すこともある。
保存方法「直射日光、高温多湿を避けて保存」など。
使用上の注意「開封後はお早めに」「ぬれたスプーンを使わない」など。
挽き方粉の商品だけ。下の5つの言葉で書く。
原産国名輸入品は原産国名を書く。国産品でも、輸入品と間違われるようなデザインなら、国産品であることを書く。
製造者など表示に責任を持つ事業者の名前と住所。製造所の所在地と製造者の名前(表示に責任を持つ事業者と同じなら省略できる)。

栄養成分の表示は、コーヒーでは省略できます。

意外と見落としがちなのが、賞味期限の意味です。賞味期限は、開封したあとの期限ではありません。開けたあとは、期限より前でも品質が落ちることがあるので、早めに飲みきりましょう。

飲みきる期間の目安は、コーヒー豆・粉の保存方法にまとめています。

挽き方の5つの言葉

「中細挽き」と言われても、どれくらいの細かさなのか想像しにくいですよね。規約では、挽いた粉の粗さを砂糖にたとえて決めています。

挽き方粗さの目安
粗(荒)挽きザラメくらい、またはそれより粗い
中挽きグラニュー糖くらい
中細挽き中挽きと細挽きの中間
細挽きグラニュー糖と白砂糖の中間
極細挽き細挽きより細かい

器具ごとに合う挽き目と粉の量は、コーヒー用語集の挽き目の表にまとめています。

商品名に産地名を使うときのルール

ちょっとしか入っていなくても、「ブルーマウンテンブレンド」と名乗れるの?

気になりますよね。規約では、「○○ブレンド」と名乗れるのは、○○の豆を30%以上使ったものだけです。「ブルーマウンテン」「キリマンジャロ」のような産地名や銘柄名を商品名に使うときの決まりを見ていきましょう。

産地名を使った商品名と配合の図。「ブルーマウンテン100%」は、ブルーマウンテンだけ。「ブルーマウンテンブレンド」は、ブルーマウンテン30%以上と、ほかの豆。「炭火焙煎ブルーマウンテンブレンド」は、ブルーマウンテン30%以上と、ほかの豆で、すべての豆を炭火だけで焙煎
割合の目盛りはイメージです
  • 「○○100%」など、その豆だけを使っていると表示するなら、ほかの豆は使えません。
  • 配合の割合について誤解させる表示は、禁止されています。

産地名の範囲(14の例)

では、どこの豆なら「キリマンジャロ」と名乗れるのでしょうか。規約には、14の名前について、どこで生産されたアラビカ種の豆を指すかの例が載っています。

名前生産地
ブルーマウンテンジャマイカのブルーマウンテン地区
ハイマウンテンジャマイカのハイマウンテン地区
ジャマイカジャマイカ(ブルーマウンテン・ハイマウンテン以外)
クリスタルマウンテンキューバ(同国の輸出規格に基づくもの)
グアテマラアンテイグアグアテマラのアンテイグア地区
コロンビアスプレモコロンビア(同国の輸出規格に基づくもの)
モカハラーエチオピアのハラー地区
モカマタリイエメン
キリマンジャロタンザニア(ブコバ地区を除く)
トラジャインドネシア・スラウェシ島のトラジャ地区
カロシインドネシア・スラウェシ島のカロシ地区
ガヨマウンテンインドネシア・スマトラ島のタケンゴン地区
マンデリンインドネシアの北スマトラ州とアチェ州(ガヨマウンテンの生産地区を除く)
ハワイコナアメリカ・ハワイ州の南コナ地区と北コナ地区

同じタンザニア産でも、キリマンジャロにはブコバ地区の豆は含まれません。ちょっと意外かもしれません。

焙煎方法と製法の表示

「炭火焙煎」と書いてあると、なんだかおいしそうに見えますよね。こうした作り方を表す言葉にも、名乗るための条件があります。

表示使える条件
炭焼き・炭火焼など焙煎の始めから終わりまで、同じ熱源(炭火)だけで焙煎したもの。ブレンドなら、すべての豆が対象。「炭火焙煎」のような似た表示も同じ
遠赤外線焙煎遠赤外線を出す装置だけで焙煎したもの。装置の名前をつけた「遠赤外線セラミックヒーター焙煎」のような表示が妥当とされ、「ヒーター」は省いてもよい
カフェインレスカフェインを90%以上取り除いたもの。「デカフェネィテッドコーヒー」とも書ける
有機有機JASの基準に合ったもの
焙煎機で、焙煎したばかりのコーヒー豆をかき混ぜている様子

禁止されている表示の例

「最高級」って書いてあったら、本当に最高級なの?

大げさな言葉にも、ちゃんとルールがあります。規約は、品質や中身を誤解させる表示を禁止していて、施行規則に例を挙げています。

  • 客観的な根拠がないのに、「特上」「特選」「最高級」や「超」「究極」などの言葉で、特に優れた商品のように見せること
  • 品質が優れているように見せる「天然」「自然」「純」「純正」「ピュアー」、新鮮さを表す「生」「フレッシュ」
  • タンポポ・大豆・玄米などを原料にしたものに「コーヒー」と表示すること
  • 別の商品や事業で受けた賞を、その商品が受けたように見せること

規約で決まっていないこと

逆に、規約に決まりがないこともあります。

  • 焙煎度(浅煎り・深煎りなど):言葉の基準も、表示の義務もありません。
  • 焙煎した日:表示の決まりはありません(決まっているのは賞味期限だけ)。

焙煎度の言葉に基準がないので、同じ「深煎り」でも、店によって焙煎の度合いが違うことがあります。焙煎度の名前と目安は、コーヒー用語集の焙煎の表にまとめています。

次に豆を買うときは、袋の表示もちょっとのぞいてみてくださいね。

よくある質問

「ブルーマウンテンブレンド」に、ブルーマウンテンが何%入っているかはわかりますか?

規約で決まっているのは「30%以上」ということだけで、実際の割合を書く決まりはありません。袋に割合が書かれていなければ、販売元に問い合わせてみるのが確実です。

賞味期限を過ぎた豆は、もう飲めませんか?

賞味期限は、おいしく食べられる期限です。消費者庁のパンフレットは、賞味期限を過ぎた食品も、必ずしもすぐに食べられなくなるわけではないと説明しています。

缶コーヒーの「コーヒー」「コーヒー飲料」の違いも、同じ規約で決まっていますか?

いいえ。缶やペットボトルのコーヒーは、別の公正競争規約(コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約)の対象です(飲用乳や豆乳類の規約の対象になるものなどは除きます)。違いはコーヒー用語集の表示の表にまとめています。

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